伸ばせ、一炭素!「アルデヒドを一炭素伸ばしたカルボン酸に変換」

いきなり間隔開いたぞ。なるべく毎日更新を目指します。
今日は会社の先輩に教えてもらった論文。
Org. Lett, 2008, 10, 3853-3856
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ol8016484

アルデヒドから、一炭素伸びたカルボン酸を簡便に合成する方法です。
まず、アルデヒドとトリクロロ酢酸ナトリウムを反応させ、中間体のトリクロロカルビノールを得ます。これを塩基条件下におくと、水酸基が脱プロトン化されエポキシドを形成します。ここに水素化ホウ素ナトリウムを加えますとヒドリド付加によりエポキシドが開環し酸クロライドとなります。その後速やかに加水分解され、目的のカルボン酸が得られます。

ジクロロエポキシドに求核剤を付加させ、α-置換カルボン酸を得る反応は「Jocic反応」として知られているそうです。今回はそれをヒドリド求核剤に応用した例ですね。
溶媒としてt-ブタノールを用いるのがポイントのようで、それ以外のアルコール(エタノールやイソプロパノール)ではアルコールがエポキシドに付加してしまうそうです。
先輩曰く、「きれいで便利な反応」とのことです。メチレン-カルボン酸の前駆体としてアルデヒドを設定できる、というこの反応は覚えておきたいです。